Harpoon3のチュートリアル8章

こちらは私が運営していたゲームブログ「真夜中のほうれん荘」の過去記事を公開状態で保管するために再投稿したものです。



2006.08.04  チュートリアル8章(フォーメーションエディタ) - SIM(Hapoon3)

チュートリアルの8章をまとめてみました。
ちなみに、ネットで公開されているチュートリアルのページはこちら。
Wiki(英語)

チュートリアル8章「フォーメーションエディタ」



・”Formation Editor”の利便性
”Formation Editor”は艦隊防衛の要です。
ハープーン3(Harpoon3:H3)では2つ以上のユニットをグループ化した時に1つのユニット(グループ化されたシンボル)として画面に表示されます。
この時、グループ化されたユニットは”Formation Editor”を使うことでグループの中心座標を基準に、艦船や定期的なパトロール任務を行う航空ユニットを配置する事が出来ます。
これにより、例えば、中央の空母を守る形で周囲にミサイルフリゲートや駆逐艦を配置し、進軍中の間、常に防衛態勢を維持する事が可能になります。

フォーメーションエディタの利点は、ユニットの配置が相対座標で管理されることにあります。
ミッションエディタがリファレンスポイントなどの絶対座標や特定目標を指定しなければならないのに対し、フォーメーションエディタはグループの中心座標と脅威軸を基準に、相対座標で艦隊の配置、パトロールエリアの設定が出来る為に、艦隊の針路の変更や脅威軸の変更を行った場合でも、いちいち手動で手直しする必要はありません。

上手い配置を一度設定すれば、特殊な状況になって再変更する必要がない限り、ゲーム中は艦隊が自律行動で対応するので、プレイヤーはH3のコンセプトである指揮統制に専念する事が出来ます。

・グループの組み方、解除、MAPの表示変更
ユニットをグループ化する場合は、まずは範囲指定してグループ化したい複数のユニットを選択状態にします。
次に、”hot key”で割り当てられている、キーボードの”G”キーを押すことでグループ化が出来ます。
解除の仕方は、グループ化されたシンボルを選択して”D”キーを押すことで解除(Detach)が出来ます。
(”Formation Editor”画面で1ユニットづつ解除する事も可能です)
ゲーム中にグループ化したまま個々のユニットを表示させたい場合は、(NumLockをOFFの状態で)Numpadキーの”9”を押すことで、ウインドウごとに表示の切替が出来ます。

グループ前とグループ後のシンボルの変化


・”Formation Editor”の動作原理
チュートリアルの英文を読むと、”Formation Editor”を使った艦隊の配置は”Patrol Zone”ボタンを押して設定していくだけでOKといった調子で簡単に説明されているのですが、どうも動作原理そのものの説明がないので、何やら漠然としていてとっつきづらく感じました。

マニュアルの”Formation Editor”の項目を読めば詳しく解説されているのですが、簡単にまとめると、艦船や航空機のユニットを対空用、対艦用、対潜用の各項目に割り振り、ユニットごとに各項目の脅威軸を基準にパトロールゾーン(艦船を配置したい場所や航空機の警戒エリア)を設定していきます。

”Formation Editor”はこの3つの脅威軸の使い方が肝になっていて、例えば、迎撃戦闘機を敵の対艦攻撃機と味方の艦隊の間に展開させてパトロール任務を行わせたい場合は、対空脅威軸に対して同じ方向でかつ、味方艦隊より外側の位置に警戒エリアを設定します。
これにより迎撃機は常に指定された警戒エリアを偵察しますが、このエリアは対空脅威軸に対して相対的な座標の為、対空脅威軸の方向を変える事により自動的に警戒エリアの範囲も更新されて変更されることになります。
この便利な機能のおかげで、例えば、今まで艦隊の9時方向に対空脅威軸を設定し、9時方向の警戒任務をさせていた迎撃機に対し、レーダーが6時方向に敵影を捕捉した場合、対空脅威軸を6時方向へ変更するだけで、迎撃機を6時方向へ向かわせる事が出来ます。

対空脅威軸(AAW)を9時方向へ設定し警戒任務にあたらせる


対空脅威軸(AAW)を6時方向へ変更したところ。警戒エリアも連動して位置が変わる


この3つの脅威軸は、”Formation Editor”画面で参照する事が出来ます。
(実際に表示されるのはそのうちの1つの軸だけで、他の2つの軸も含めて、どれか一つだけが切り変わって表示される仕組みになっています)

脅威軸(threat axes)の種類には3つの軸があり以下の様になります。
----------
ASW :対潜脅威軸 ”Anti-Submarine Warfare”
ASuW:対艦脅威軸 ”Anti-Surface Warfare”
AAW :対空脅威軸 ”Anti-Air Warfare”
----------

対潜脅威軸(ASW)。この軸は常に艦隊の針路と同じ方向に固定されます


対艦脅威軸(ASuW)。小さな三角形の部分をクリックすると脅威軸の表示を変更できます


対空脅威軸(AAW)。軸の方向は弧の部分をクリック&ドラックして方向を変更できます

軸のくさびの部分をクリック&ドラックして幅を伸縮できます

注意しなければならないのは、AAW軸とASuW軸は警戒方向を変更する事が出来ますが、ASW軸は変更が出来ず、常に艦隊の進行方向と同じ方向に固定されます。
これにより対潜脅威軸を変更したい場合は艦隊の針路を変更しなければならないのですが、実際には艦隊の針路はより大きな作戦の為に簡単に変更できるものではないので、対潜哨戒機や対潜用艦船の配置には注意が必要になるでしょう。
(軍事作戦において指定時刻までに指定座標へ移動する命令を受けた場合、艦船の速度は遅いので、途中で針路変更をして時間をロスする事はあまり良い事ではないでしょう)

一方、”ASW軸は常に艦隊の針路と同じ方向に固定される”ルールを利用する事で、針路を変更しても配置が崩れない(自動的に再配置される)艦隊の陣形を組む事が出来ます。
方法は至って簡単で、配置したい艦船を選択しASW軸を表示させて(ASW軸モード)、”Patrol Zone”ボタンを押します。
そして、配置したい位置へカーソルを移動してクリック&ドラッグで小さな範囲枠を作成します。
すると、ダイアログボックスが開いてどのモードにするか聞いてくるので、”Station Keeping”を選択します。
その後は、同じ要領で全ての艦船を設定すれば、艦隊の中心とASW軸(進行方向)を基準に、十字やV字といったお好みの陣形で艦隊を運営する事が出来ます。


この画像は、中央部に位置する輸送船(L007)を護衛するために、戦闘艦3隻が針路(ASW軸)に対して前左右に展開し陣形を整えているところです。
また、対潜ヘリを艦隊の前方に配置し敵潜水艦の脅威に対応します。

・”Formation Editor”での設定手順
1)まずはユニットをグループ化する
2)グループ化したユニット(シンボル)を選択し、”Formation Editor”ボタンを押す
3)”Formation Editor”画面が表示されたら、ユニット一つづつに対してパトロールゾーン(Patrol Zone)を設定する

・”Patrol Zone”の設定方法
*艦船ユニットの警戒エリアを指定する場合は、まず、艦船ユニットを選択し、次に割り当てたい脅威軸(ASW軸、ASuW軸、AAW軸のいずれか)を選択します。
それから”Patrol Zone”ボタンを押して、警戒エリアとしたい場所でクリック&ドラッグして範囲枠を作成します。

範囲枠を作成した後に出てくるダイアログボックスには、パトロールゾーン内でのユニットの動きを設定します。
----------
Sprint-Drift:パトロールゾーン内を高速で巡回します
Station Keep:パトロールゾーンの中心に位置するように調整します
Random   :パトロールゾーン内をランダムに移動します
----------

*航空機ユニットの警戒エリアを指定する場合は、まず、割り当てたい脅威軸(ASW軸、ASuW軸、AAW軸のいずれか)を選択します。
(一番最初は艦船ユニットをどれか一つ選択しないと脅威軸が選択出来ないかもしれません)
次に”Air ops toolbar”ボタンを押し、警戒エリアとしたい場所でクリック&ドラッグして範囲枠を作成します。

範囲枠を作成した後に出てくるダイアログボックスには、パトロールゾーン内でのパトロールの種類を選択します。
----------
CAP     :”Combat Air Patrol” 対空戦用装備でパトロールを行います
AEW     :”Advanced Early Warning” センサーを装備して早期警戒任務に就きます
Dipping Sonar:ヘリを使って吊り下げ式のソナーを下ろします(対応するユニットのみ)
Sonobuoy   :ヘリを使ってソノブイを投下します
SUCAP    :”Surface Combat Air Patrol” 対艦戦用装備でパトロールを行います
----------

その後、準備中の航空機一覧が表示されるのでパトロールに適した航空機を割り当てます。

・その他注意事項
*潜水艦はグループに含める事が出来ません。
*ヘリを使ったソノブイ(Sonobuoy)投下パトロールは、ソノブイの動作がゲームの負荷を非常に高めるため、小部隊MAPでの使用に限定するようにとコメントされています。


それでは、これより先はチュートリアルの指示通りにゲームを進めて、どのような結果になるか検証してみます。

現在洋上には、CG47ミサイル巡洋艦「タイコンデロガ」を旗艦に、DDG51ミサイル駆逐艦「アーレイ・バーク」と、DDG55ミサイル駆逐艦「スタウト」が集結し、L3004大型輸送艦「サー・ベディヴィエール」を護衛する為に展開しています。
参考:
CG47”Ticonderoga”:
DDG51”Arleigh Burke”:
DDG55”Stout”:
L3004”Sir Bedivere”:

今回の作戦は、L3004大型輸送艦「サー・ベディヴィエール」が友軍の海軍基地まで安全に航行できるよう護衛する事が目的です。



部隊一覧を参照すると、他にもSH-60対潜ヘリ「シーホーク」が戦力として使用できるようです。
ヘリはミサイル駆逐艦にそれぞれ1機づつ計2機が搭載されているので、こちらは対潜哨戒任務に割り当てます。
参考:
SH-60”SeaHawk”:

では、艦隊のフォーメーションを計画します。
チュートリアルの指示で、DDG51駆逐艦「アーレイ・バーク」を対潜哨戒に割り当て、艦隊の前方をやや先行させる位置に配備しました。
護衛対象のL3004輸送艦「サー・ベディヴィエール」は、艦隊の中央に配置し護衛の基準値とします。
CG47巡洋艦「タイコンデロガ」は対艦任務に割り当て、輸送艦の近くで守るように配備しました。
DDG55駆逐艦「スタウト」は対空任務に割り当て、輸送艦と10マイルの距離を開けるように配備しました。
対潜ヘリ「シーホーク」は、「アーレイ・バーク」の更に前方を先行して、ソノブイを投下しながら対潜哨戒に就きます。



さて、配備計画が完成したので、早速ゲームをスタートさせます。

”1 January 1995”
”06:00:00 ZULU” 作戦開始後、艦隊の針路を基準に配備計画に合わせて各艦船が位置を自動調整し、フォーメーションを組み始めます。

”06:39:29 ZULU” 順調に航行していると、大陸の半島部に位置する敵の空軍基地から航空機が出撃するのを、レーダーが捕捉しました。
早速、対空脅威軸(AAW)を敵影の方向へ変更し、それと連動する形で担当の駆逐艦「スタウト」が艦隊と敵影の間に移動します。



”07:00:38 ZULU” 先行している対潜ヘリ「シーホーク」のパイロットから敵影の識別報告が入り、旧ソ連のBearF(Tu-142 Bear-F)対艦対潜攻撃機であることが確認されました。
次々と飛来する敵影に対し、先行する「シーホーク」から識別報告が入るおかげで、かなり手前の安全な距離からSM(スタンダードミサイル)を発射して迎撃することが出来ます。
結局、ミサイル艦3隻による対空防御力は鉄壁で、敵の攻撃を全く寄せ付けずに壊滅させることに成功します。



”21:39:24 ZULU” 時間は進み、敵の空軍基地から65海里のもっとも近寄った位置にて、今度はこちらから反撃を行います。
各艦に搭載されているトマホーク巡航ミサイルを発射し、敵の空軍基地へミサイル攻撃を敢行します。



敵の基地施設に対しトマホーク巡航ミサイルによるミサイル攻撃を指定する


各艦から巡航ミサイルが発射され基地へ向かって飛行するのを見守る


敵の施設を正確に捉え見事に命中


その後、艦隊は友軍基地へ向かって順調に北上します。



”Day TWO,2 January 1995”
”19:25:56 ZULU” 友軍基地へ向かって最後に北東へ針路を変え航行している時に、パッシブソナーが潜水艦の船影を捉えました。



対潜ヘリ「シーホーク」によるソノブイの投下で敵潜水艦の位置が判明しますが、距離が遠いので味方艦に搭載している魚雷では攻撃できません。
しかし、その間にも敵潜水艦は魚雷を続けざまに発射してきます。
先行している為に狙われた「アーレイ・バーク」が、緊急回避をとり魚雷の針路から逃げようと速度を上げ、周りの艦船も巻き添えにならないように回避行動をとり始めます。



”20:18:03 ZULU” ここまでは状況をただ目視しているだけでしたが、流石に自動では対応できなそうなので、ミッションエディタを起動し、対潜攻撃任務を作成します。



対潜攻撃任務には、待機している「シーホーク」を割り当て、対潜魚雷”Barracuda ALWT”を換装させます。

”20:59:18 ZULU” 「シーホーク」が投下した対潜魚雷が敵潜水艦に命中。



”Day THREE,3 January 1995”
”02:49:18 ZULU” 輸送艦が基地に到着し、作戦は損害も出さずに無事成功となった。

ゲーム終了時のスコアを見てみますと・・・。

こちらは味方のステータス。ユニットの損害は無く、消費した武器の数量が表示されています

これを見るとSM(対空ミサイル)を計52発も発射したことが分かります

敵のステータス。航空機が28機も飛来していたんですね(汗

敵潜水艦1隻で魚雷13発も撃っていたのか・・・。
1発も当たらなかったのは、たまたま運が良かったと言えばよいのでしょうか?

それでは、ゲームも終了したのでこの作戦の検証をしてみます。
まずは、前回のチュートリアル4章の戦闘時と比べて、対空迎撃が非常に効率良く行われました。
これはミサイル艦3隻による迎撃能力の高さもありますが、4章の戦闘時では使用できなかった、対潜ヘリを先行させての捕捉した敵影の早めの識別が、迎撃ミサイルの発射待機時間の短縮につながった事が大きいと思います。

次に、後半に現れた敵の潜水艦ですが、こちらはかなり悪い対応となりました。
対潜ヘリと対潜哨戒を行っていた「アーレイ・バーク」のアクティブ・ソナーのおかげで、40海里以上離れた位置から敵潜水艦を捕捉出来たのですが、味方艦が搭載している魚雷の最大射程距離が6海里程度しかないために、攻撃する事もできずただ見守る状態でした。
時間が経過するうちに最大射程距離20海里の魚雷を搭載する敵潜水艦の射程内に入り、魚雷が次々と発射されます。

先行していた対潜ヘリ「シーホーク」の装備は、ソノブイを搭載している時は魚雷を搭載する余裕がない為に、敵潜水艦の位置を追尾している間は対潜攻撃が出来ません。
もう1機の「シーホーク」がヘリポートで待機していたので、自動対応する事を期待したのですが、どうやら流石に無理な様子でした。
手動でミッションエディタを起動し対潜攻撃の任務を作成して、待機中の「シーホーク」に割り当てますが、任務割り当てから魚雷発射までに40分以上の時間がかかっています。
実は、待機中の「シーホーク」をソノブイ装備から対潜魚雷に換装する際に30分のメンテナンス時間のロスが出ていまして、この間、何本もの魚雷から艦隊が回避行動をとる極めて危険な状態に陥りました。

この件については、使用できる「シーホーク」が2機だけだったので、索敵時間の隙間を開けないように2機がローテーションで索敵をするか、1機を常に対潜攻撃用にヘリポートで待機させておき、残りの1機が索敵時間の隙間を定期的に開けながらも索敵をするか、のどちらかを選ばなければいけないジレンマになっていました。
今回、2機でローテーションする方法を選びましたが、予想通り敵潜水艦への対潜攻撃に手間取りました。
一方、1機を待機させておけばすぐに対潜攻撃を実行できましたが、その分、索敵の隙間の時間ができ、その間に敵の航空機や潜水艦に近寄られて致命的な攻撃をされていたかもしれません。

どちらの方法が優れているのか、また、より柔軟な方法が別にあるのかといった、「最適なフォーメーションや運用方法」をH3を使って色々と考察するのも面白いと思います。

今回の検証によって、上手いフォーメーションを組む事により艦隊の相互防衛力を高め、損害を最小に抑える事が出来るようになる、という事が理解出来ました。


このブログの人気の投稿

決戦!! サンタンデール / Santander '37 (Bonsai Games,SNAFU Design)をソロプレイ

エクアドル・ペルー戦争 / Equatorial Clash (Bonsai Games,SNAFU Design)をソロプレイする

X3:Reunion研究白書2008 目次

天下布武 対戦プレイ 20200501

ウォーゲーム「Islamic State Libya War」のソリテアAAR

レッドドラゴンライジング / Red Dragon Risingを親子で対戦

ブログの目次

Armored Task Forceを使って陸戦で指揮統制する

コンフリクトオブヒーローズ / Conflict of Heroes: AtB3をソロプレイ

Storm Over Madrid 1936: "Miracle of November"をソロプレイ