天下布武 対戦プレイ 20200501

K2PUBLISHING(国際通信社)から発売されているウォー・マルチゲーム「天下布武」を小学校低学年の息子と対戦プレイした。この記事は対戦プレイの様子をまとめたものとなる。

天下布武
はじめに

「天下布武」は日本の戦国時代を舞台にプレイヤーは戦国大名の1人となり自分の軍勢を使って領地の支配を拡大していくマルチプレイヤーズ・ゲーム(多人数ゲーム)である。こちらは最新の作品ではなく1985年の国産ゲームを再販売したものになる。詳細は付属のルールブックに記載された以下の文章を引用し紹介とする。
------(P1〜)
1.ゲームのあらまし
本作は、1985年エポック社レックカンパニーのワールドウォーゲームシリーズ17として販売された『シミュレーション入門1』の中に入っていた3作品のうちの1つ「天下布武」の意匠を新たに単体で再現した商品です。ルールブックやエラーのあった箇所は新版作成の際に訂正が加えられ、マップや駒も新しくなっています。
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 私は1985年当時は同年代の友人たちとTRPGを主にプレイしていたので、このゲームは未プレイだと思っていたのだが、今回の対戦中に何となくプレイした感覚が湧いてきたので、もしかしたらこのゲームまたはこれに類した戦国ゲームを当時プレイしていたのかもしれない。一方、子どもはウォーゲーム(War Game)やウォー・マルチの類は初めてになるが、現在ボードゲーム(ユーロゲーム)に慣れてきた頃であり最近はなかなか良い一手を打ってくる。そのため、私はそろそろウォーゲームやウォー・マルチといったジャンルのゲームに挑戦してみても良いのではないかと考えた。最初のゲームとして「天下布武」を選んだのは、ウォー系の中ではルールが極めて簡単なのと、子どもが以前にデジタルゲームの「戦国BASARA」のアクションゲームを遊んでいたので、知っている武将の名前が出てくれば取っ付きやすいだろうとの判断による。学校で社会科の授業が始まれば、日本地図や昔の地理のほか日本の歴史なども習うので、内容が全くの無駄にならないのも良い。そもそも、我が家でアナログゲームをする目的は子どもの頭の体操のためというのが第一であり、ゲームを使って家族で楽しい時間を過ごすのは二番目である。その辺の経緯は以下の記事を参照していただきたい。

ボードゲーム再び!!「数十年ぶりに復活した話」

それでは、対戦プレイを簡単にまとめていく。

ゲームルールの決定

「天下布武」は6人まで参加可能なマルチゲームだが、今回は私と子どもの2人だけなので戦国大名は”織田”と”武田”を選んだ。どちらにするか子どもに尋ねると”武田”を選んだので、私が”織田”で子どもは”武田”の担当となる。使用するエリアは子どもにルールの説明をしながらのお試し対戦プレイなので、”織田”と”武田”の初期領地の他に美濃と遠江、駿河、信濃(北)の4つを加えたエリアに制限した。加えて、ユニットの動かし方とウォー特有の戦闘方法に慣れるために、イベントの発生と戦闘チットの使用ルールは無しとした。ゲーム終了時を規定するターンの設定は、とりあえず10ターンにして様子をみる。

写真1:初期配置図

状況判断(METT-T)

ゲームの前に状況判断を行い、盤面や情勢を把握する。勝利条件を理解し、敵勢力の把握、地形分析、自軍勢力の確認、時間の調整(今回は10ターンの流れの中でどのような動きをするか)を行う。状況判断の記録は”織田”側の視点に立って記載している。

任務分析(Mission)

ゲームの勝利条件は、規定されたターン終了後に支配している領地の国力の合計値が最も高いプレイヤーが優勝となる。国力とはマップに記されている数値で、甲斐なら16、三河なら8となる。今回は「10ターン終了時点で相手より多く国力を得ること」となる。

国力一覧表
甲斐:16
信濃(北):2
信濃(中):6
信濃(南):2
尾張:14
三河:8
美濃:14
遠江:6
駿河:4

初期状況
「写真1」を見ると、”織田”は尾張と三河の2つの領地を支配していて、尾張に本城を置いているのが分かる。進軍するための主戦力は尾張に配置している。一方の”武田”は甲斐と信濃(中)、信濃 (南)の3つの領地を支配していて、甲斐に本城を置いている。主戦力は本城のある甲斐に配置している。

敵戦力の推測(Enemy)

”武田”
領地支配数:03=甲斐(16)、信濃(中)(6)、信濃(南)(2)
国力の合計:24(戦力)
実稼働戦力:21
甲斐と信濃(中)、信濃(南)に領地支配継続のため最低でも1戦力ずつ配置しなければならないため、実稼働戦力は21(24ー3=21)となる。

自軍戦力の把握(Troops)

”織田”
領地支配数:02=尾張(14)、三河(8)
国力の合計:22(戦力)
実稼働戦力:20
尾張と三河に領地支配継続のため最低でも1戦力ずつ配置しなければならないため、実稼働戦力は20(22ー2=20)となる。

ゲーム終了条件と初期状況から両陣営を比較すると、国力が2つ多い”武田”の方が情勢的には優勢なのが分かる。”織田”は10ターン終了までに相手の支配する領地を奪うか、中立国を支配して国力の合計値を上回らなければ負けとなる。そうは言っても、軍勢(実稼働戦力)は20vs21とほぼ同数であり、合戦で必勝するためには何かの策が必要だ。では、どのような策を設ければ良いだろうか?

地形判断(Terrain & Weather)

写真2:移動経路の推測

「Go/No-Go」分析

ここでは盤面を参照し、「Go/No-Go」分析を行い進入可能地形と進入不可地形を明確にする。このマップでは、海は全面進入不可能であり、領地と領地の間に走る山地(イラストによって表現される)は移動による踏破が不可能な地形となる。「写真2」では、進軍不可能な山地ラインにバツ印を記してある。補足として、ルールでは軍勢のユニットは1回の移動において現在の領地から隣接の領地へ1歩だけ移動することができる。

自軍接近経路選出(AOA)

それでは、自軍が本城のある尾張をスタートとして、敵の本城がある甲斐を目的地とした場合の移動経路を進入可能地形から導き出す。「写真2」を見ると分かるとおり主な経路はABCの3つある。

接近経路一覧
A:尾張ー美濃ー信濃(南)ー甲斐
B:尾張ー三河ー信濃(南)ー甲斐
C:尾張ー三河ー遠江ー駿河ー甲斐

Aは中立国の美濃に攻め入り支配によって国力(戦力)を増やした後に信濃(南)から甲斐へと向かう経路となる。
Bは尾張から甲斐へと繋がる中央の1本道であり、移動のしやすさから最も激戦が予想される経路となる。
Cは中立国の遠江と駿河へ攻め入り支配によって国力(戦力)を増やした後に甲斐へと向かう経路となる。

敵軍接近経路選出(AEA)

今回は扱うマップの領域が狭いため、自軍の移動経路に対する敵軍の撃破地区(EA)の推測は行わず、敵軍の移動経路の推測を行う。こちらも、「写真2」を見ると分かるとおり主な経路はDEFの3つある。

D:甲斐ー信濃(南)ー美濃ー尾張
E:甲斐ー信濃(南)ー三河ー尾張
F:甲斐ー駿河ー遠江ー三河ー尾張

Dは”武田”側から見た美濃攻めだ。美濃を支配し国力(14)を得た場合、次のターンの補充で戦力が+14されるので、両陣営の戦力比バランスは完全に崩壊し勝利に一歩近づく。
Eは”織田”側と一緒で、甲斐から尾張へと繋がる中央の1本道であり、移動のしやすさから最も激戦が予想される経路となる。
Fは中立国の駿河と遠江へ攻め入り支配によって国力(戦力)を増やした後に尾張へと向かう経路となる。

こうして両陣営の移動経路を比較するとそれぞれの3つの移動経路はどれも相手と被っていて、それぞれの経路を選ぶ動機も同じとなる。移動経路も同じ、戦力もほぼ同じ状態でどうやって相手に勝利するのか?何もせずに時間が経てば”織田”側は負けとなる。これについては以後の行動方針の項で検討を行う。

時間(Time Available)

「天下布武」のゲーム進行手順は以下のようになる。

(1)順番の決定
(2)事件(イベント)の発生
(3)軍勢の移動と戦闘
  スタートプレイヤーから順番で移動を1回行う(選んだユニット群を1歩動かす)。敵がいる領地に入ったらすぐに戦闘処理を行う。戦闘終了後、次のプレイヤーが移動を行う。これ(移動)を計4回繰り返す。
(4)支配状態の確認
(5)軍勢の補充
ターンが一つ増えて、(1)から繰り返す。

このようになっているため、1回目の移動で敵地へ進軍し戦闘を行うと、2〜4回目の移動時に逆襲される可能性がある。今回の場合は、戦闘後の自軍の増援のことも考慮すると3回目の移動時に進軍し戦闘を行うようにする。
全体を見ると、今回のゲームのタイムリミットは10ターンである。”織田”としては出来るだけ早い段階で国力の合計点を相手より上回り、防御によって敵戦力を叩く態勢に持っていきたい。よって、ゲーム序盤の3ターン終了までに何らかの領地を支配して優勢を確保し、中盤以降は防御からの反撃で進軍し、本城のある甲斐を目指すイメージを立てる。

行動方針(Course Of Action)

状況判断を元に軍勢の具体的な行動方針を決定する。手順は行動方針のパターン(戦法)をいくつか選出し、それに対して分析(ウォーゲーム)を行い、分析の結果判明した欠点部分を補完していく。

行動方針の分析(War Game)

まずは、「写真2」を参考に両陣営の移動経路上で最も多く経路が重なる緊要地区を算出する。今回は盤面が狭いのでマップを見れば一目瞭然なのだが、点数計算すると以下のようになる。

緊要地区の算出(移動経路上で領地を通過するごとに+1点する)
尾張 6点
甲斐 6点
信濃(南) 4点
三河 4点
美濃 2点
駿河 2点
遠江 2点

本拠地である尾張と甲斐を除くと、次に点数が高いのは信濃(南)と三河になる。信濃(南)は”武田”の支配領地、三河は”織田”の支配領地であり、どちらにしろ、ここを取られたら決定打になる可能性が高い。作戦立案および実際のゲーム中もこの地区周辺の状況変化には敏感にならなければならない。

それでは、自軍移動経路ABCについて検討していく。
A:尾張ー美濃ー信濃(南)ー甲斐
 美濃を落とせば国力14が手に入ることで一気に戦力バランスが崩れて有利となる。しかしながら、このゲームの戦闘システムでは攻撃側は防御側より2倍から3倍の戦力で挑まないと確定的な勝利は得られない。そして、”織田”の戦力20に対し美濃の戦力14なので、全戦力を持ってしても勝つことは難しい。また、全戦力を美濃に向けた場合は自国の防御ががら空きなので”武田”側に攻め込まれたら滅亡は免れない。そのことから、今回はAのルートを採用することはまず無い。

B:尾張ー三河ー信濃(南)ー甲斐
 尾張から甲斐まで最短距離で繋がる一本道となる。これは敵側にとっても同じ条件なので、最も激戦が予想される。合戦は城で守る防御側が有利なのだが、現状は”織田”が劣勢なので自分から仕掛けなければならないだろう。18戦力を持って進軍し、2戦力程度の軍勢を再襲撃のために三河に残す2段攻撃で攻め込む計画を立てる。

C:尾張ー三河ー遠江ー駿河ー甲斐
 遠江と駿河の2つの中立国を支配することで国力(戦力)を増やし、甲斐へ攻め込むルートとなる。Bの移動経路を使った進軍が頓挫した場合はすぐさまCへ変更し、遠江を支配することで国力(戦力)6の増強を計る。これにより国力比は26:22へ変動し優勢となる。相手は”織田”の領地を奪うか、中立国を支配するかの選択を強いられる。”武田”側が国力と戦力増強のために中立国を支配する方針を取った場合は、駿河を支配することで26:26の同点となり、更に信濃(北)を支配することで26:28で逆転となる。この状況にならないために常に”武田”の軍勢を損耗させるように合戦を仕掛けていく。

次に敵軍移動経路DEFについて検討していく。
D:甲斐ー信濃(南)ー美濃ー尾張
 ”武田”による美濃攻め。ルートAでも解説したとおり、”武田”の全21戦力をもっても美濃の14戦力に勝つのは現状では難しい。当然、全戦力を美濃へ向ければ”織田”軍勢に簡単に攻め入る隙を与えてしまうので、やはり、”武田”側もこのルートを採用する可能性は低い。

E:甲斐ー信濃(南)ー三河ー尾張
 ”武田”側にとっても最短ルートとなる。情勢は優勢なので信濃(南)に軍勢を配置し、城を使って防御すればかなり有利な合戦となる。全滅または敗走した”織田”軍勢を追うように残存戦力で三河へ逆襲すれば戦力の少なくなった三河を奪取する可能性がある。これを防ぐためには三河への一定数の防衛戦力の配置が必要となる。

F:甲斐ー駿河ー遠江ー三河ー尾張
 信濃(南)に一定数の防衛戦力を配置し、残りの戦力で中立国へ攻め入って国力(戦力)を増強していく戦法となる。この戦法を採用された場合、”織田”側は遠江を支配しても駿河と信濃(北)を取られることで合計点では負けるため、時間(ターン)を無駄に消費するだけで、より苦しい状況に追い込まれる。相手がこの作戦で来た場合は、全力を持って信濃(南)へ進軍し敵戦力の損耗に励み、中立国への攻め入りができないよう妨害に徹することが求められるだろう。

行動方針の決定

まずは移動経路Bを採用し、2段攻撃にて信濃(南)へ攻め入る。攻撃側としての戦力が足りずに合戦の勝利が難しい場合は、すぐさま移動経路Cの戦法に切り替える。この場合は戦力を分散し、三河の防衛に10戦力を配置、残りの10戦力で遠江へ攻め入る。”武田”側が移動経路Fの作戦を採用した場合は、終始、信濃(南)で合戦を仕掛け敵戦力の損耗に励み、中立国への介入を間接的に妨害し続ける。

以上が”織田”側による状況判断と作戦計画の立案となる。


作戦の実行と考察(AAR)

ここからは実際のゲームプレイの様子を記録していく。ゲーム後の反省点も絡め、要所ごとの状況を考察する。

第1ターン
順番は”織田”の私が1番、”武田”の子どもが2番となった。1ターンに移動(とそれに伴う戦闘)をプレイヤー全員が順番に4回行うため、ここではラウンド1〜4で記す。

第1ターン第1ラウンド
”織田”は戦力20を三河に移動する。”武田”は甲斐にいる戦力を分散し、早速、中立国の駿河に戦力6で攻め込んだ。駿河の戦力4は城で守っているため、ルールでは攻撃側は2d6(6面体ダイスを2個振って出目を合計する)の結果からー3しなければならない。攻撃側は城の守りが強固なため効果的な攻めができないという表現なのだろう。子どもは<戦闘結果表>を使ったウォーゲーム特有の戦闘システムは初めてなので、どのくらいの戦力があれば合戦に勝利するのかの感覚がまだ掴めていない。私からは一応、「攻撃側で勝つには2倍から3倍の戦力が必要だよ」と伝えてあるが、実感がないためまずは試して様子をみる考えなのだろう。結果は、ダイス目も悪くあっという間に粉砕され残った戦力1が甲斐へ敗走となった。なかなか良い出だしだ。これで安易な攻撃は自軍の損耗を招くことが理解できたはずだ。

”武田”軍勢による駿河攻めは失敗に終わる

第1ターン第2ラウンド
”織田”の私はここでパスをして軍勢は三河の守護にて待機とする。この段階ではまだ子どもにユニットの動かし方や、戦力がどう動けば相手はどう動くといった内容を説明している段階だったので、一旦自分の作戦は停止にした。子どもは様々な説明を聞いた後に、甲斐にいる戦力1を信濃(中)へ移動させた。これは何を考えているのかよく分からなかったが、この戦力1の軍勢が後の合戦で”武田”を救うことになるとは思いも寄らなかった。

第1ターン第3ラウンド
”織田”の私は再びパスをして軍勢は三河の守護にて待機。実はこの段階で、信濃(南)が戦力1の状態だったので、子どもに「今、三河から攻め込んだら速攻で勝てるよ」と諭す。慌てて戦力7を信濃(南)に移動させる子ども。

第1ターン第4ラウンド
”織田”の私は再びパスをして軍勢は三河の守護にて待機。子どもは信濃(南)にいる”武田”の戦力7を進軍させて三河に攻めてきた。攻撃側の火力が低くあっという間に蹴散らされる。”武田”側の全滅にて合戦は終了する。

この後、支配状況の確認と軍勢の補充を行う。支配状況に変化なし(国力の変動なし)。このゲームでは自分の国力合計に応じた戦力がターンの終わりに完全補充される。子どもの”武田”は、盤面に展開する戦力を引いた分の全戦力が再結集され、戦力20(信濃(中)に戦力1の軍勢がいるため1少ない)が甲斐に集結した。これを見て喜ぶ子ども。

第2ターン
順番は、またも”織田”の私が1番、”武田”の子どもが2番となった。

第2ターン第1〜2ラウンド
双方ともに、軍勢を再配置するための移動で終わる。”織田”は相変わらず戦力20を三河に配置し守護しながら信濃(南)への進軍のタイミングを伺う。”武田”は戦力12を信濃(南)へ配置し、残り戦力8を甲斐へ配置した。戦力を分散させて甲斐に配置するメリットは無いのだが、私の何か得体の知れない攻撃を恐れて子どもなりに考えて配置したのだろう。

第2ターン第3ラウンド
”織田”の私は全戦力20を持って信濃(南)へ進軍する。2段攻撃にしなかったのは子どもの合戦を見ていて、城攻めする攻撃側はかなりしょっぱいことが分かったから。まずは全戦力で攻め込み、攻防1回目の損害が多ければすぐに三河へ撤退する計画を立てる。

三河から進軍した”織田”軍勢による信濃(南)攻め

戦力12の損害を出して敵の戦力12の軍勢を全滅させることに成功した。落城によって城は混乱状態に陥る。これにより、このターンの最後まで敵の反撃から耐え抜けば信濃(南)は”織田”の領地となる。

合戦には勝利したが戦力20が8まで減少した”織田”の軍勢

第3ラウンド後攻の”武田”が、すぐに甲斐にいる戦力8の軍勢を信濃(南)へ進軍させる。城が混乱状態なので、守る”織田”軍勢は”城攻め時はダイス目にー3”の効果が利用できない。

支配を失った”武田”軍勢が戦力8をもって反撃に出る

合戦は両陣営一歩も引かず、まさかの双方全滅となる。喜ぶ、子ども。

激しい合戦の末、双方全滅する

第2ターン第4ラウンド
”織田”の私は戦力0のため何もできずパス。このまま城が混乱状態のままターンが終わるかと思ったが、奇跡が起きた。子どもは信濃(中)に配置してあった”武田”の戦力1の軍勢を急いで南下させ、信濃(南)の領地を占領することに成功する。大喜びする、子ども。

信濃(南)を占領する”武田”陣営。信濃(中)に居た軍勢が役に立った

この後、支配状況の確認と軍勢の補充を行う。”武田”は信濃(南)の城が混乱状態のため支配を失って、国力がー2される(戦力もー2される)。軍勢の補充は”織田”が20、”武田”が19となる。補充後、次の処理として混乱状態の信濃(南)の城が通常の状態に戻り、信濃(南)は再び”武田”の支配領地となった。”織田”によるこの合戦の成果は、「次のターンの”武田”の戦力をー2することが出来た」こととなる(一時的に敵戦力は9.5%減少)。情勢はほぼ変化なく”織田”が劣勢のままなので、何としてもこの状況を上手く利用し有利な態勢に持っていかなければならないだろう。

第3ターン〜第6ターン

第3ターンに”織田”は信濃(南)に猛攻をかけるが、今度はダイス運に見放され惨敗する。双方ともに損耗が激しく”武田”側も反撃する余力がないままターン終了となった。第4ターンには”武田”が戦力10をもって三河へ進軍。”織田”はこれを叩き潰し、残った戦力で信濃(南)から遠江へ進路を変えて進軍を行う。

第4ターン、”武田”による三河攻めは失敗に終わる

合戦の末、”織田”は戦力6を残し何とか遠江の戦力6を撃破することに成功した。城は混乱状態に陥ったためターンの最後に領地支配をすることで、次の第5ターンの支配状況の確認時に国力+6となり、”武田”に対し優勢を得ることができる。

移動経路Cへ作戦変更する”織田”の軍勢

第5ターンの初めに、盤面の情勢の説明を私から受けた子どもが、自分が劣勢に陥ったことを知る。ゲームプレイにおいても、子どもが自分で考えた色々な策がなかなか成功せず、合戦に勝てないために集中力が切れてきたのが見ていて分かる。そこで、私から提案し次の6ターン目が終わったらゲーム終了ということにした。残り2ターンなので、子どもは私の攻撃を交わしつつ駿河などの中立国を支配する作戦の実行は難しいため、三河に攻めるか遠江を攻めるかの二択になることを説明すると、子どもは遠江を攻める決断をしたようだ。最終ラウンドに全戦力をもって遠江へ進軍し攻め落とす”武田”の軍勢。ダイスの女神がいつものように味方して残り戦力1で勝利し、またも大喜びする子ども。

第5ターン。遠江を占領した”武田”の軍勢

第6ターン(最終ターン)は、引き続き遠江で激戦となった。全戦力を投入する子どもの”武田”軍勢。私の方は、三河攻めを警戒して守護のために戦力を分散して配置しているため、どうしても2段攻撃になってしまう。取って取られてを繰り返し、最後は”織田”が遠江を占領した。

第6ターン。最後の合戦はダイスの影響も大きかった

ゲームの終了

6ターン目が終了したところでゲーム終了とし、お互いが支配している領地の国力を算出した。”武田”は初期状況と同じく24点だった。”織田”は新たに遠江(6)を支配して国力が+6増加し、22点から28点となった。結果は、”織田”の勝利である。それを見て悔しがる息子。初めてにしては十分に健闘したと思う。次回、また頑張ろう!!

支配状況一覧
”武田”
領地支配数:03=甲斐(16)、信濃(中)(6)、信濃(南)(2)
国力の合計:24

”織田”
領地支配数:03=尾張(14)、三河(8)、遠江(6)
国力の合計:28

ゲーム終了時の両陣営の支配状況

考察(AAR)

子どもに感想を聞くと「難しかった」との意見だった。具体的にはルールが難しいのではなく、両陣営が同じような移動経路を使って同じくらいの戦力で戦う時にどうすれば勝利できるのかが分からないという話だ。実際、戦力を分散させて攻め入れば粉砕され、集中して攻めれば一時的に勝っても直後に逆襲されて負けるので、どうすれば良いのかゲーム中に迷っている様子が見ていて分かった。確かにこの状態で勝負に挑むのは難しいと思う。ゲームルールを利用するならば、城で守って敵を損耗させ相手領地へ逆襲をかける戦法が思い浮かぶが、これは相手が攻めて来なければ利用できない。”織田”の場合は、最初から勝利条件的に劣勢なのでいつまでも待っているわけにはいかず、攻めなければならない。攻めながら勝つためにはどうすれば良いか。やはり、相手を騙すまたは騙されたことは分かっていてもそうするしか手がないように強いるのが最良だろう。一見不利に見えるが戦力を分散し三河防衛と遠江遠征に分ける。三河に攻め入る隙を与えて防御にて叩き隣の信濃(南)へ逆襲する。”武田”側の対応策としては全戦力で三河へ攻め込むか、戦力を分散し信濃(南)防衛と遠江への介入を行う。この場合は、どちらにしろ遠江が主戦場になることが分かる。一方の、”武田”としては移動経路Fの戦法である、戦力を分散し信濃(南)を防衛しながら中立国の駿河と信濃(北)を支配する手段が”織田”から見て一番嫌な手になるのではないか。こちらの場合は、主戦場は信濃(南)となり、尾張からは2歩、甲斐からは1歩の立地のため”武田”有利の状況のまま防御による打撃で対抗できるため、リスクが少ない。何もせず時間が経過すれば”武田”の勝利であるため、”織田”側は全戦力を持って対抗するしかなく、取って取られてのただただ無駄な時間が経過していくのを歯痒い思いで見続けるしかないのだろう。

「天下布武」では、このような合戦に変化を持たせるため”戦闘チット”なるものが存在する。また、ターンの初めに事件(イベント)が起こる。プレイヤーはこれらの臨時効果による状況変化を上手く利用し合戦に勝利して勢力を拡大していく。マルチゲームなので、もちろん、プレイヤー間の同盟や裏切りといった要因も勝敗への影響が大きい。

最後に、「天下布武」はシンプルなルールだからこそ手軽に始められるゲームとして、大変良く出来た素晴らしい作品だ。興味のある方には自信を持ってお勧めしたいと思うのが私の感想である。

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