エアラインヨーロッパのルール拡張と感想

エアラインヨーロッパのルール拡張と感想

家族で遊んでいるボードゲーム「エアラインヨーロッパ」のルールを拡張し、ハウスルールとしてプレイした感想を記録として残す。

このゲームの本来の醍醐味は、いつも足りない資金を何とか工面して航空路線の拡張(株価上昇)と株式の入手を行い、株の決算時に株券マジョリティで優位に立つためにお互いの手札(非公開)の株式カードを持株としていつ公開するのかの駆け引きを楽しむものなのだが、実際に家族でプレイしてみると何というか余り面白くない。楽しみどころがインタラクション的には株式カードを先に買えるか買われるのかと、決算のタイミングに合わせて直前に手札を大公開してマジョリティを得られる(奪える)かどうかくらいなので、実際のゲームは淡々と進行することが多い。いつもカツカツな資金に苦しみながら効率良くマネジメントすることが主体となる静かなる駆け引きのゲームということで、通好みなマゾい楽しみ方を嗜むものなのだろう。

我が家では何度かハウスルールを取り入れて調整してみたのだが、いまいち盛り上がりに欠けるので、今回思い切って大幅にゲームシステムの改造をしてみた。目的はゲーム中に一喜一憂したり喜怒哀楽したりと楽しく盛り上がれることを優先しているので、現実の事象を忠実にルール化し史実の再現を追体験するものでは全くない。

以下がルール拡張の内容となる。

・ルール拡張部分以外の項目は基本ルールに準ずる。

・株式カードに株価を付けた(航空会社マーカーを使って株価は上下に変動する)。

・株式カードは1枚だけ株価に基づいて購入する形式にした(ついでに、市場の奥にあるカードが欲しかったら手前のカードにコインを置いていくドラフトのメカニクスを実装)。

・3人プレイではルートライセンス(3)のマスは使用しない(黄色と紫の航空会社を使わないため同じ数量分のマスも使わないようにして、陣取りのメカニクスが機能するように調整した)。

・路線拡張のために投資する(自分のお金を支払う)のではなく、路線拡張したら報酬としてお金をもらえるようにした(ルートライセンスは数字の大きいマスから埋めていく)。

・手札(非公開)の株式カード1枚を持株として公開することで、その航空会社の路線を拡張できるようにした(同じ色のカードを一度に複数枚公開することで枚数に応じて追加報酬が貰えるようにセットコレクションのメカニクスを実装した)。

・プレイヤーは自分の手番のはじめにダイスで2d6を行い、株式市場が不確定要素で動くようにした。出目の合計が6以下なら任意の航空会社マーカーを一つ戻す。8以上なら一つ進める。7ならプレイヤー全員の手札のバーストチェックを行う。手札4枚以上でバーストし半数を捨てて株式市場の山札へ戻す(セットコレクションのために手札を増やすことに対するリスクとしてバーストのメカニクスを実装)。

・プレイヤーは自分の手番になったら、株式カードの購入、持株(手札の株式カードの公開)と路線拡張、持株をエア・アバクス社の株式カードへ交換など5つのアクションから一つを選んで実行する。

・エア・アバクス社の株式カードに1から5までの数値を付加することで、エア・アバクス社の決算は株式カードの枚数ではなく、数値の合計値でマジョリティを競うようにした。
配分表
1の数値・・・6枚
2の数値・・・5枚
3の数値・・・4枚
4の数値・・・3枚
5の数値・・・2枚
カード20枚分の数値の合計は50点となる。

・プレイヤー間でエア・アバクス社の株式カード3枚のオークション(競り)を行うようにした。ゲームスタート直後、1回目の決算処理終了後、2回目の決算処理終了後の3回に分けて合計9回(9枚)の競りをする。カードは裏返し(数値が見えない)状態で競りをするので、落札した後に数値を見てガッカリすることもあれば、ニンマリすることもある(競りのメカニクスの実装)。

・決算処理では、勝利点ポイント分のお金と持株枚数分のお金を報酬として貰えるようにする。

・3回目の決算処理の後、一番お金を多く持っていたプレイヤーが優勝となる。


以上、こんな感じでルールを改造し家族でテストプレイをしてみた。子どもには、セットコレクションで追加ボーナスを狙う私の手札がバーストして不幸な目に合うのが十分、楽しかったようだ。株式市場も、今までは要らない会社のカードが全然取られなくて市場が動かなかったのだが、今度はコインがどんどん上乗せされていくので、目先の金に欲が眩んでどうしても取ってしまう。取ったところで路線を拡張すれば報酬は得られるので有効な手番の数的な損失以外の損した感がないのが良い。資金のなさに苦しみながら次の一手を考えるのに比べて、アクションをすればするほど資金が増えていくのでゲーム中のストレスが遥かに少なく気分が楽だ。結局のところ、苦しみながら他人より多く稼ぐか楽な気分で他人より多く稼ぐかの違いなのだが、ファミリーゲームならばこのくらい大雑把でインタラクションも多い方が楽しめた。我が家ではガチなら「基本」ルールを、楽しんでプレイするならこの「じゅんパパ」ルールで遊ぼうと思う。今後も面白そうなメカニクスがあったら実装していく。

ちなみに、基本ルールだと3人で1時間くらいでプレイ終了するのだが、このルールでは終了までに3時間かかった(3枚目の決算カードは残り山札5枚で出た)。誰も長考はしていないので、様々なメカニクスを実装すると無駄に時間がかかるのだろう。小学校低学年の息子は2時間30分あたりで集中が完全に切れた。ゲームには参加しているが、途中から銀行(の箱の中)のコインで無意識に遊び始める。デジタルゲームでも大体このくらいで集中が切れて自らゲームをやめるので、今現在の息子の集中力が続く時間はこんなものか。アナログゲームの場合は、軽いものなら1ゲーム30分くらい、重めのものでも1時間から2時間くらいで終わるゲームがファミリーゲームとしてはちょうど良い。対応方法としては、予め2時間と規定してプレイする場合はルールを切り離せば良い(例えば、アバクス社の株オークションは行わないとか、決算2回目でゲーム終了にするなど)。デジタルゲームに比べてアナログゲームはこういったカスタマイズの柔軟性を持てることが素晴らしいと思う。


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