PACIFIC GO第2戦

PACIFIC GO第2戦


はじめに

太平洋戦争を扱った二人用対戦ボードゲーム「PACIFIC GO」を、小学校低学年の息子と対戦プレイした。今回は第2戦となる。担当は前回と同じく、白色駒の日本軍は私で、黒緑黄色駒の連合軍(アメリカ軍、イギリス軍、オランダ軍)は子どもとなった。

作戦の方針

作戦図

今回、日本軍を担当するにあたってABC作戦でいく決断をした。この作戦は簡単に説明すると以下のようになる。

A)台湾にいる2海軍駒と2陸軍駒で南方にある3か所の資源エリアを占領し資源を確保する

B)仏印にいる2陸軍駒で西進してビルマとインドを占領し勝利ポイントを得る

C)アメリカ軍に対抗するための防衛ラインを段階的に設け、侵攻スピードを可能な限り遅滞させる

Aの作戦はイギリス軍とオランダ軍が敵となる。どちらも補給ポイントが少なく部隊の運用が厳しいため、比較的簡単に達成できると考えられる。

Bの作戦は達成できれば勝利ポイント5点が獲得できるため挑戦する価値のあるものだが、陸軍駒のダイス運に頼るところが大きい(戦闘時に資源ポイントを多くつぎ込むだけの余裕がない)。前回の対戦でほとんど全ての海エリアをアメリカ軍に支配されてしまったため、アメリカ軍の補給源であるハワイから一番遠いインドとビルマを占領し、時間切れで逃げ切るこのB作戦を決心した。

Cの作戦は最も重要なものとなる。これで上手く立ち回れないとアメリカ軍の無双状態になってしまうので、何としてもアメリカ軍の行動を遅滞させなければならない。アメリカ軍にとって最も大きな心配事は「時間が足りず、間に合わないかもしれない」(残りターン数が少ない=残り手数が少ない)状態になることである。史実と違ってゲーム的には、日本軍はアメリカ軍を妨害し続けることで、10ターン(最終ターン)で逃げ切り勝利を狙うことができる。そこで、今回は防衛ラインを4本ほど想定した。

Cライン:ゲーム開始時の防衛ラインとなる。ソロモン海とニューカレドニア諸島エリアを支配下におけば、<米豪連絡線の遮断>を達成し勝利ポイント1点を得ることができる。ウェーク沖とトラック沖エリアを撃破地区に設定するが、目的は敵の妨害なのでエリアの支配が変わらない引き分けで良い。

Dライン:Cラインが突破されたあとはこちらが防衛ラインとなる。マリアナ沖とビスマルク諸島エリアを撃破地区に設定するが、こちらも目的は敵の妨害なので引き分けで良い。ビスマルク諸島エリアを支配されてしまうと、セレベス海エリアを通って資源エリアへの攻略が可能となってしまうので、この防衛ラインを可能な限り維持したい。

Eライン:Dラインが突破されるとここが作戦上の最終防衛ラインとなる。小笠原沖エリアを撃破地区に設定するが、目的は敵の妨害なのでここでも引き分けで良い。しかしながら、小笠原沖エリアは本土から艦隊を出撃させると移動に2歩かかるので、この時期の日本軍の資源ポイントのカツカツさを考えると、絶対に譲れないが実際は運用が難しい海域であることが予想できる。

Fライン:赤線でひいたFラインは絶対防衛ラインとなる。日本海と東シナ海を撃破地区に設定するが、何としても引き分け以上に持ち込み海域の支配を失ってはならない。ここの支配を失うと、台湾、沖縄、満州、呉、横須賀エリアなどをアメリカ軍に完全支配されてしまう可能性がある。また、東シナ海の支配を失うと、本土と南方の資源エリアとの連絡線(補給線)が切断されてしまう。当然、アメリカ軍は連絡線の遮断を狙ってくるだろう。だが、日本軍はそのような時期に効果的な作戦を遂行する能力を、まだ保有しているだろうか?

以上をもって作戦の方針を決定しゲームに挑む。

ゲーム開始時の補給ポイント。日本軍は20ポイントあるが、アメリカ軍は0ポイントで何もできない。

ゲームの進行

ここからはおおまかなゲームの進行状況と、その時気づいたことなどを記録していく。

第1ターン

前回は、右も左も分からない状態で全く意味のない初手を打ってしまったので、今回は慎重に駒をすすめる。まずは、仏印にいる陸軍駒をビルマへ侵攻させる。台湾にいる海軍駒を移動させてジャワ海を支配下におき、陸軍駒でシンガポールへ上陸し占領する。太平洋側のトラック基地にいる海軍駒でソロモン海を支配下におき、米豪連絡線の遮断を目指す。陸軍駒でガダルカナルへ上陸し占領する。ヌメアを取ってタウンズビルを狙いたい。ビルマでのイギリス陸軍との戦闘はダイス目が良く、相手をインパールへ撤退させることに成功した。何も出来ずに悔しがる息子。良い調子だ。

第2ターン

資源エリアはシンガポール、バリクパパン、バタビヤの3つを占領支配することに成功。A作戦は無事に達成された。

占領した3つの資源エリアと日本へ繋がる連絡線(補給線)

大陸エリアはインパールで大規模戦が発生する。ここのイギリス陸軍に最後まで苦しめられるとはこの段階では予想もできなかった。太平洋側では、子どもが担当するアメリカ軍が日本軍支配のクウェゼリンに上陸作戦を実行。日本陸軍も慌ててガダルカナルから移動し、日米の戦いがこの地で初めて繰り広げられた。


戦闘の結果、クウェゼリンは陥落。アメリカ軍支配下となったことで喜ぶ子ども。


この時初めて、私は太平洋地域に陸軍駒が一つもなくなり、陸エリアがスカスカになったことに気づく。これはヤバくないだろうか・・・何だか嫌な予感がする。

第3ターン

大陸エリアのインパールでの戦闘が膠着しているため、南方の資源エリアにいる海軍駒と陸軍駒を使って海上経路でインドへ直接乗り込む作戦を追加しB作戦の達成を急ぐ。まずは、セイロン沖を支配しセイロン島を占領支配する。一方の太平洋側では、前ターンで補充(生産)した陸軍駒を急いで本土から移動させ、クウェゼリン奪回作戦を実行する。戦闘は引き分けで膠着。今回の作戦費用は、生産費、移動費、戦闘費用と大変な出費がかかった。あっという間に底をつく日本軍の資源ポイント。

第4ターン

大陸エリアでは、イギリス軍は資源ポイントが少ないため海軍を上手く運用できないことを利用して、日本軍は海域を封鎖し陸軍駒がインド上陸作戦を敢行した。ここを奪取すればB作戦は達成し、対アメリカ戦のためのC作戦に専念できる。一方、太平洋側では十分な補給ポイントを獲得したアメリカ軍が遂に反攻を開始する。さあ、ここからが本当の戦いだ。アメリカ海軍駒が一斉にウェーク沖、トラック沖、ビスマルク諸島エリアに攻め込む。アメリカ陸軍駒は手薄になったトラック基地を上陸占領するため出撃した。日本軍もそれぞれの海域に艦隊を派遣して対応。クウェゼリンでは日本軍とアメリカ軍の戦闘が続き、現在も膠着状態になっている。まずは、作戦計画通りCライン上での防衛戦となった。果たして戦闘の結果は?

第4ターン移動フェイズ。アメリカ軍が反攻を開始した

戦闘の結果、ウェーク沖海戦では日本海軍が壊滅し海エリアはアメリカ軍の支配下となった。これによりアメリカ陸軍駒がトラックへ上陸可能となり、無血占領にて支配下におく。トラック沖海戦では引き分けにて日本軍は海エリアの支配を守るが、トラック基地が占領されたため海軍駒はパラオ基地まで撤退し帰還することになった。ビスマルク諸島海戦でも日本海軍が壊滅。クウェゼリンの陸戦でも日本陸軍が壊滅となった。惨敗である。声を出して大喜びする、子ども。くっそー。すぐに防衛ラインをDラインに変更して戦況の変化に対応する。一方の大陸エリアでは、インドとインパールの陸戦はともに膠着。私の中のイメージとしては、第6ターン終了時までCラインで踏ん張るつもりだったので、あまりのあっけなさに焦りが生じる。

アメリカ軍にCラインを突破され、防衛ラインをDラインへ変更する

第5ターン

大陸エリアでは遂にインドを占領支配することに成功した。B作戦達成である。これにより勝利ポイントを5点獲得したので日本軍の勝機が見えてきた。大陸にはイギリス陸軍駒が1駒残っているのだが、これがすこぶるしぶとく除去できない。一方の太平洋側では陸軍駒を補充(生産)しサイパンへ配置。海軍駒がDラインで海戦し次々と撃破されていく。子どもは既に太平洋側の戦いに集中しているようで、眼差しが日本本土に向かっているのがひしひしと伝わる。今回は、ゲーム前に連合軍の勝利条件が「星印がついた日本軍支配の陸エリアを占領支配すること」と伝えてあるので、あまり無駄な手は打ってこない。たいしたものだと感心する。

第5ターン。遂にインドを占領し支配下におく日本軍

第6ターン~第7ターン

アメリカ軍はDラインを突破。サイパンとパラオの基地を占領支配する。日本軍は防衛ラインをEラインへ変更する。次の撃破地区は、小笠原沖とフィリピン海エリアだ。第7ターンにアメリカ軍がEラインへ侵攻。日本軍は小笠原沖を守ったが、フィリピン海とマニラ基地を失った。防衛ラインをEラインのまま、撃破地区を小笠原沖と東シナ海エリアへ変更する。

第7ターン開始時の状況

第8ターン開始時の状況

第8ターン

アメリカ軍はEライン上の小笠原沖と東シナ海エリアに大軍でもって攻め込んできた。日本軍はもはや1海軍駒ずつを派遣して対応することしかできない。結果は、両海域と硫黄島、沖縄の2つの陸エリアを占領支配された。非常に重要な戦いだったが惨敗である。

第8ターン移動フェイズの状況

東シナ海エリアの支配を失ったため、南方の資源エリアとの連絡線が切断された。これにより補給ポイントが18から9まで下がる。子どもはアメリカ軍部隊を分散させて南方エリアの支配奪回を開始した。日本軍の勝利ポイントを減らすことが目的だが、残り3ターンでは大陸の支配奪回までは間に合わない。日本軍は防衛ラインを絶対防衛ラインのFラインに変更し、残り2ターンを耐え凌がなくてはならなくなった。アメリカ軍の猛攻に果たしてどこまで耐えられるのだろうか?

第8ターン終了時の状況

第9ターン

子どもはアメリカ軍を2つに分けて、南方エリアの支配奪回と日本本土への攻略を行ってくる。日本軍は横須賀に残った最後の海軍駒を出撃させて対応する。この海戦では奇跡が起きて日本軍は防衛に成功し、本土へ上陸予定だったアメリカ陸軍は引き返した。この奇跡に悔しがる子ども。首の皮一枚で繋がっている親の気持ちが分かるだろうか。

第9ターン移動フェイズの状況

別のエリアでは台湾と南方の全ての資源エリアの支配をアメリカ軍に奪取された。大陸エリアではインパールで小競り合いが相変わらず続いているのだが、双方ともに連絡線が遮断されたので戦闘時に2倍の資源ポイントが必要となり、これが日本軍の資源ポイントを地味に圧迫している。無駄な戦闘はやめて潔く降伏するよう息子に説得するがにやりと笑って無視された。どうも魂胆を見抜かれたようだ。さて、あと1ターン。勝機が見えてきた。

第9ターン終了時の状況

第10ターン(最終ターン)

子どもはインド洋に浮かぶセイロン奪回のため南方の部隊を向かわせる。やはり大陸には間に合わない。そして、残りの部隊を使って日本本土へ2度目の攻撃を仕掛けてきた。日本軍は最後の1海軍駒を出撃させて迎え撃つ。

第10ターン移動フェイズの状況

今回は奇跡が起きず海軍駒は壊滅。海エリアを支配されたことでアメリカ陸軍駒が横須賀と呉エリアに上陸してきた。戦闘ではアメリカ軍に資源ポイントのメガ盛りをされて、日本軍は全滅。日本本土は遂に最終ターンでアメリカ軍に占領支配されてしまった。これを見て大喜びする息子。嬉しさのあまり敗者の私とHigh five!する。私もHigh five!は嫌いじゃない。「ちょーくやしい」を連呼すると大喜びするので、感想戦では連呼しまくってやった。しかし、あと1ターン持てば日本軍の勝利だったので本当に悔しい。ちょーくやしい。

ゲーム終了時の状況

作戦評価

今回は、最終ターンで連合軍が横須賀と呉を支配したので連合軍のサドンデス勝利となった。子どもの勝ちである。ちなみに、日本軍の場合はハワイとタウンズビルを支配下におくとサドンデス勝利となる。それではサドンデス勝利は一旦置いておいて、ゲーム終了時の得点計算をしてみると、連合軍は18ポイント獲得し日本軍は5ポイント獲得なので、(18-5=13)となり、10点以上獲得した連合軍がここでも勝利している。最終ターンで横須賀と呉が陥落しなければ(12-5=7)で10点未満のため、日本軍の勝利だったわけである。

ゲーム終了時の得点状況

ゲーム中の作戦行動を振り返ると、マップ南西で展開されるA作戦とB作戦は順調だったが、ダイス運が悪く戦闘が膠着し侵攻が進まない場合を想定して、何らかの追加策を考えておく必要があるだろう。あるいは逆に大陸の勝利ポイント獲得は最初から捨てることで、余った部隊駒と資源ポイントを早い段階から別の目的に使う戦法も十分に考えられる。この辺も色々考えてみたい。

このゲームの肝である対アメリカ戦となるC作戦だが、これはなかなか思ったようにはならなかった。アメリカ軍は4ターン目から大規模な反攻が可能だが、圧倒的な戦力(資源ポイント付き)で攻めてくるので日本軍は大変苦しい。1ターンに防衛ラインを1本ずつ突破されると、最速で7ターン目の終わりには日本海エリアの支配を奪われてしまう(7ターン目で本土占領もありうる)。絶対防衛ラインであるFライン(日本海、東シナ海)は、勝利ポイント的にもやはり絶対に失ってはならないものなので、ここに近寄らせないためには更に早い段階での防衛ラインの維持が必要になるだろう。ダイスの運だけに頼らず何か良い策があるか検討したい。


おわりに

ゲームが終わったあとにルールブックを再度読み返してみると、なんと移動ルールと戦闘ルールに関して間違えていたことに気づいた。備忘録として記録しておく。

・移動時に陸軍駒を基地から出発させた後、自軍基地がある島嶼[トウショ](陸エリア)の中まで進ませていた。これは正しくは、移動フェイズでは陸軍駒は陸エリアに隣接する海エリアで一旦停止する。次の陸上戦闘セグメントで、海エリアが自軍支配下ならば陸エリアへ上陸することができる。つまり、日本軍は1資源ポイント少なく移動することができた。

・戦闘時に命中した回数分だけお互いが駒を除去してしまっていた。エリアの支配は生き残った方が獲得していた(日本軍はいつも1駒しか置く余裕がないので、だいたい負けて支配を失っていた)。これは完全に間違っていて、正しくはお互いの命中した数を比較し多い方は損害なしで勝利となる。少ない方は差分だけ駒を除去し残りを基地へ帰還させる(SAエリアでは一歩後退可能)。命中数が同数またはともにゼロの場合は通常は引き分けとなり、ともに基地へ帰還させる(陸戦ではその場で膠着する)。このルールも日本軍にとっては多少有利なルールとなる。

・戦闘時に資源ポイントを戦力として追加する場合、自軍に複数の駒があるときに例えば6戦力を3コマに4:1:1の割合で割り振ることを可能にしていた。これは正しくは、2:2:2のように平均して割り振らなければならない。つまり、日本軍にとってはアメリカ軍に対して有利なルールとなる。

これらの項目は戦況に影響を与えるには十分な内容なので、きちんとしたルールで挑めばどうなるのか、是非とも第3戦を行いたくなってきた。時間を作って再度対戦しようと思う。


このブログの人気の投稿

決戦!! サンタンデール / Santander '37 (Bonsai Games,SNAFU Design)をソロプレイ

エクアドル・ペルー戦争 / Equatorial Clash (Bonsai Games,SNAFU Design)をソロプレイする

X3:Reunion研究白書2008 目次

天下布武 対戦プレイ 20200501

ウォーゲーム「Islamic State Libya War」のソリテアAAR

レッドドラゴンライジング / Red Dragon Risingを親子で対戦

ブログの目次

Armored Task Forceを使って陸戦で指揮統制する

コンフリクトオブヒーローズ / Conflict of Heroes: AtB3をソロプレイ

Storm Over Madrid 1936: "Miracle of November"をソロプレイ